【Omeka S Tips】既存の標準語彙の追加方法

概要

Omeka SではRDF(Resource Description Framework)を用いてリソース(アイテム、アイテムセット、メディア、etc...)の情報を記述します。そのため、RDFのクラスやプロパティのコレクションである語彙をインポートする必要があります。この記事では、この既存の語彙のインポート方法について説明します。なお、公式マニュアルでは以下に記載があります。

 

omeka.org

 

具体的には、国立国会図書館が提供する国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)とSchema.orgジャパンサーチの利活用スキーマの登録を例とします。

 

なお、代表的な語彙としてDublicon Core Terms(dcterms:)が挙げられます。Omeka Sのインストール直後のデフォルト設定では、Dublin Coreに加えて、Dublin Core タイプ(dctype:)、書誌オントロジー / Bibliographic Ontology(bibo:)FOAF / Friend of a Friendfoaf:)が登録されています。

既存の語彙を可能限り使用することで、データの共有が容易となります。一方、独自の語彙を使用したい場合には、Custom Ontologyモジュールが使用できます。この使用方法については、以下の記事で紹介しています。

 

nakamura196.hatenablog.com

 

 

RDFスキーマファイルの取得

語彙の登録にあたり、各語彙のRDFスキーマファイルを取得する必要があります。

 

DC-NDL

以下から取得することができます。

https://www.ndl.go.jp/jp/dlib/standards/meta/2020/12/ndl-terms.rdf

 

以下のページに掲載されています。

www.ndl.go.jp

 

なお、接頭語は「dcndl」、名前空間URIは「

http://ndl.go.jp/dcndl/terms/」です。

 

Schema.org

以下から取得できます。

https://schema.org/version/latest/schemaorg-current-https.rdf

 

以下のページに掲載されており、フォーマット(JSON-LD、RDF/XML、Turtleなど)を指定できます。

schema.org

 

なお、接頭語は「schema」、名前空間URIは「

https://schema.org/」です。

 

ジャパンサーチの利活用スキーマ

ジャパンサーチの利活用スキーマ関連の語彙の例として、以下が挙げられます。

ここでは、上記の接頭語「jps」の語彙を対象とします。本語彙は以下から取得できます。

https://jpsearch.go.jp/term/property

 

Omeka Sへのインポート

画面左部のメニュー「語彙の一覧」にアクセスし、画面右上のボタンをクリックしてください。なお、2021年7月時点で、本ボタンの日本語訳に間違いがありますので、いずれ修正したいと思います。

 

f:id:nakamura196:20210725154253p:plain

 

その後、以下のような入力フォームが表示されますので、基本情報や登録するファイルの情報を入力します。ファイルについては、ファイルのアップロードまたはURL指定による読み込みが可能です。以下は「ジャパンサーチ利活用スキーマ」を登録した例です。

 

f:id:nakamura196:20210725154040p:plain


この方法で、「DC-NDL」「Schema.org」も合わせて登録した結果が、以下の「語彙の一覧」画面で確認できます。

 

f:id:nakamura196:20210725155347p:plain

 

Schema.org は膨大な数のクラスとプロパティが定義されていることがわかります。

なお、各語彙で定義されているクラスおよびプロパティ一覧の列の数字をクリックすると、当該語彙のクラスまたはプロパティの一覧画面に遷移します。また、ラベルの横にある省略アイコンをクリックすると、以下の図のように、そのクラスまたはプロパティの詳細な説明が表示され、さらに当該クラスまたはプロパティが使用されているアイテムの一覧を確認することができます。以下の例では、「dcterms:title」が2つのアイテムで使用されていることを確認できます。

 

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更新

語彙の更新は、「語彙の一覧」ページに表示される鉛筆アイコンをクリックして編集画面に入ります。そして、新しい語彙のファイルまたはURLを指定して画面右上の「保存」をクリックします。

その後、以下のような更新前後の変更を確認する画面が表示されます。ここでは、「Schema.org」の「schema:highPrice」というプロパティのラベルを、試験的に変更した例です。問題ない場合には、画面右上の「変更を承認」をクリックして、更新作業を完了させます。

 

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なお、2021年7月時点においては、クラスおよびプロパティの追加と変更のみが可能で、特定のクラスまたはプロパティの削除は非対応のようです。

 

削除

語彙の削除は、「語彙の一覧」ページに表示されるゴミ箱アイコンをクリックします。画面右部に確認パネルが表示されるので、「削除を確定」を押して作業を完了させます。

 

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まとめ

以上、既存の語彙を追加、更新、削除する方法を説明しました。

可能限り既存の語彙を使用することで、データの共有が容易となります。一方、独自の語彙を使用したい場合には、Custom Ontologyモジュールが使用できます。この使用方法については、以下の記事を参考にしてください。

 

nakamura196.hatenablog.com