透過光画像を使ったIIIFアプリケーション

概要

「透過光画像を使ったIIIFアプリケーション」を作成しました。東京大学総合図書館所蔵の「シェリー書簡」を対象にしています。

utda.github.io

 

作成したアプリケーション

本アプリケーションではIIIFの「代替資源の選択」を用いて、オリジナル画像と透過光画像を比較する環境を提供します。

4つの方法で比較環境を提供しており、「IMAGE COMPARISON WITH A SLIDER 」「MIRADOR」「IIIF CURATION VIEWER」「IMAGE ANNOTATOR」を用いています。

IMAGE COMPARISON WITH A SLIDER

Digiratiが開発した画像比較ビューアを使用しています。画面中央のスライダーを動かして、画像を比較することができます。

 

MIRADOR

Miradorのレイヤー機能を用いて比較します。画面左部のレイヤータブをクリックし、opacityを変更してみてください。

 

IIIF CURATION VIEWER

CODH(Center for Open Data in the Humanities)が開発しているIIIF Curation Viewer Embeddedを用いて表示します。画面右上のラジオボックスで表示画像を切り替えることができます。

 

Image Annotator

神崎正英氏が開発しているビューアで表示します。画面右上のchoiceで表示内容を切り替えてください。...を行うと、アノテーションを付与している箇所のみ、透過光画像を表示することができます。

 

 

作成方法

Level 0 IIIF Image APIに準拠した画像の作成

Digirati社製のビューアについては、IIIFマニフェストは不要で、IIIF Image APIに準拠した画像が必要になります。そこで、今回はIIIF対応のImage Serverを必要としないIIIF Image APIのレベル0に準拠した画像生成を行いました。この利点として、Image Serverが不要となることで、GitHub PagesやAmazon S3といった静的ファイルのホスティングサービスのみでの画像公開が可能となり、運用コストやセキュリティリスクを軽減することができます。一方のデメリットとしては、事前に作成したタイル画像を配信するため、任意の範囲の画像切り出しに対応していない点があげられます。この点はカンバスに対して領域を指定するアノテーションやキュレーションでは問題になりませんが、その領域の切り出し画像そのものがほしいといったニーズには答えられないことが多いです。

今回は特定の領域の画像そのものが必要ではなかったため、IIIF Image APIのレベル0を採用することにしました。なお、Mirador等のビューアを使った画像比較では、IIIF Image APIを使用しない方法もあります。しかし、今回はDigirati製のビューアで本APIが必要だったため、Image APIのレベル0を使ったIIIFマニフェストファイルを作成することにしました。

IIIF Image APIのレベル0に対応した画像生成にはこちらのスクリプトを参考にしました。また、Excelファイルでまとめた情報を入力として、本スクリプトを実行可能な環境も用意しました。お役に立てば幸いです。

上記リポジトリの例にあるように、今回はGitHub Pagesでタイル画像を公開しました。 

github.com

 

IIIFマニフェストファイルの作成

IIIFの「代替資源の選択」を参考に、以下のようなIIIFマニフェストファイルを作成します。

代替資源を使ったIIIFマニフェストファイルの作成については、こちらの記事を参考にしてください。